子どもたちに読書感想文を書かせたい3つの理由

以下の条件のもとで、小中学生に読書感想文を書かせたほうがよいと私は考えています。
○全学年ではなく、小学3年生以上の課題にする
○子どもたちが自由に好きな本を選ぶ
○大人が手伝う
○読書感想文を発表する場を学校で設ける

1学年のうちでせめて1回は、1冊の本をしっかり読み込んで、自分の考えや感想を書く機会が子どもたちにあってほしいのです。
その理由は、次の3つです。

1 子どもの読解力を確認できる

私が小学生たちに読書感想文を書く指導をして気づいたのは、「勝手読み」をしているケースが多いことでした。
勝手読みとは、著者の意図は全く気にせず、自分の読みたい部分だけつまみ食いのように読むこと。
文章が長くなるほど、勝手読みの傾向が強くなり、物語の全体像を読み違えているのです。

学校で行われているテストでは、たいてい物語の一場面だけ抜き出して設問を作り、子どもたちに答えさせています。
子どもたちはテストに慣れると、まるでクイズの早押しのように設問と答えのセットをパターン化して覚え込むのです。

その結果、短い文章のテストに出そうな部分だけは正しく読み取れても、1冊の本になると「ええっ! そんな話じゃないでしょ……?」と大人がビックリするような読み違えを子どもたちはやってしまうわけです。

学校とは違って世の中の文章は、パターン化して読解できません(そもそもパターン化と読解とは相反するようにも……)。
小中学生のうちに、長い文章を読解できているのかを確かめるために、読書感想文を子どもに書かせたほうがいいのではないでしょうか。

2 子どもにまとまった文章(原稿用紙3枚くらい)を書く機会が与えられる

私は自分の子どもと携帯メールを交わすのですが、「○○がいない」といった短文だけ。
私が小中学生のときにやっていた交換日記も、どうやらラインやメールに置き換わっているようです。

日常生活で、子どもたちが作成するのは細切れの文章です。
長くても宿題の日記程度ではないでしょうか。

今の子どもたちは一言程度の文を作って他人に送る機会は増えていますが、文章を構成したり見直したりする機会は激減しています。
1年に1回くらいは読書感想文によって長い文章の書き方を子どもに教えたほうがいいと私は思っています。

子どものほとんどが、宿題にでもしない限り、長文を書こうとしません。これは断言します。

3 感情や考えを整理する方法を教えられる

私たちはある感情にとらわれると、極端な思考に走りがちです。
例えば「ねたみ」にとらわれたら憎しみまで生じて、相手から「がんばってね」などと声をかけられただけで「あの人は優越感に浸っている」と悪く解釈することも。

大人以上に思春期の子どもたちは、人間関係で思い悩んだり深く傷ついたりします。
極端な思考を止めるには、言葉によって自分の感情や考えを整理して論理を立てる作業が必要です。
これが客観視につながり、感情に振り回されにくくなるはずです。

読書感想文では、本を読んで「私はそれをどう感じたか」「どう思ったか」を書きます。
ですから、言葉によって自分の感情や考えを整理して論理を立てる作業が伴うのです。

読書感想文は筆者という他者とのコミュニケーションだけでなく、本を読んで生まれた感情や考えを把握する自分自身とのコミュニケーションでもあります。

コミュニケーションを取ることは社会で生きていくために必要な能力。
ただ、年齢を重ねたら誰にでも身に着く能力でもないのです。

ですから、理想は夏休みの宿題ではなく授業の一環なのですが、子どもたちには読書感想文に取り組んでほしいと思いました。

以下は余談。
私は「作文ワークショップ」を開催するに当たり、文章読本の類を大量に読みました。
その中で読書感想文は悪者扱い。
有害・無意味と批判されていました。
主な主張は「読書感想文によって読書嫌いの子どもが増える」「大学生にもできないのに小学生にできるはずがない」などでしょうか。

確かに、自分にまったく興味のない課題図書を読むように押しつけられると、子どもにとって読書は苦痛になります。
しかし、本を自由に選ばせることで、「好きな本を買ってもらえる」と楽しい機会に変わるのではないでしょうか。

また、文章読本の類で「大学生にもできないのに」とこぼすのは、大学の教員です。
どうやら、レポートや論文をまとめられない大学生が大量発生している元凶を読書感想文にしたいようです。

ただ、現状では小中学生がまとまった文章を書く機会は読書感想文程度。
読書感想文すら宿題から外れてしまったら、「原稿用紙3枚以上を書いた経験なんてない!」という大学生が増え、いっそう問題が深刻化すると予想します。

加えて、大学での研究発表については論文のフォーマットが最上でも、社会に出れば論文は必要ありません。
あくまでも私の経験ですが、意図やメリットがキッチリわかる企画書は、論文のフォーマットで書かれていませんでした。

自分の感情や考えをできるだけ正確に伝えるには、自分自身でもわかりやすく整理してから適切な言葉を選ぶ能力を養うこと。
こうした能力は、一夜漬けではなく、文章化する作業で少しずつ身に着くと私は考えています。
「難しいからやらなくてもいい」と後回ししていると、社会で苦労するのは子どもたちです。

ですから、読書感想文は悪者扱いするよりも、どうすれば子どもたちのために役立てられるかの提案を文章読本の類で行ってほしいですね。
母親目線で読書感想文について書いた本です

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